樹梟堂日記

自営業者の日記です。最近はまっているのはマンガ「トーキョーグール:re」「亜人」「ジョジョリオン」「ハンターハンター」、スマホゲーム「Fate/Grand Order」「クラッシュロワイヤル」です。

読書感想/日の名残り/カズオイシグロ

 「日の名残り」(カズオイシグロ著)を読んだ感想です。


 「わたしを離さないで」の次に読んだ私にとって2冊目のカズオイシグロ本です。

読書感想/わたしを離さないで/カズオイシグロ

 この「日の名残り」は品格のある執事を目指して生きてきたスティーブンスが昔の同僚の女中頭に会う旅行に出て、昔を思い出しながら前に進んで行く物語。
 カズオイシグロはどうしてまったく別の人生を歩むキャラクターの内面をこうもリアルに描けるのか不思議でしょうがありません。
 でも実際の執事がどう考えているのか私にも分からないので本当はどうなのかは分かりません。
 ですがどんな生き方をしている人にも通じている部分があるからカズオイシグロという小説家に描けて私のようなイギリスと関係ない国の人間にも感動を呼ぶのでしょう。
 さすがノーベル文学賞だぜ^^

 イギリスで昔を懐かしむ作品というとどうしても大英帝国後のイギリスのメタファーとして読んでしまう。
 スティーブンスがイギリスの伝統ある執事でいられたのはイギリスが強かったおかげなのだろう。
 国家への信頼があるから民主主義を捨てることを望む主人に忠誠を捧げ続けられた、のかもしれない。

 スティーブンスは品格のある執事を目指す余り人間性を捨てて執事という機械として生きてきたことに最後に気付くのだが、私は彼が幼稚な性格かアスペルガー症候群なのかと思いながら読んでいました。
 それ最後に泣いた理由などを解説によって教えられます。
 偉大な主だと思っていたダーリントン卿が実はつまらない人間でそれに気付かないフリをしたこと・・・
 なるほど、だからスティーブンスは自分の身分を明かさないようにしていたのかと感心しました。
 自分の心を偽って生きてきたことが彼の罪、あるいは後悔の源だったのでしょう。

 そして「わたしを離さないで」のイメージから、彼が再開したミス・ケントン、あるいはミセス・ベンに期待を裏切られることになると思っていましたがそんなことはありませんでした^^
 あの子供たちと違ってスティーブンスの人生はまだまだこれからだ。
 切なさと希望が入り混じる良いラストでした。


日の名残り (ハヤカワepi文庫)

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